第3話 〜狩人〜




俺の住んでいるこの村は、遥か2000年前――いやもっと前だったろうか。

住人全員が魔王デスペリオンの手下によって石に変えられていた。

もともと鍛冶が発達していたこの村の武具類すべてを渡せといわれたが、抵抗したらしい。

だから、住人全員が石に変えられたのだ。


俺の先祖がたまたまこの村に来た時には、もう手遅れだったらしく、

しかたなく風化しきっていた住人を全て埋葬したという。

そののち荒れ果てた村の建物を直し、再び住人が住める土地に変えたらしい。

そして今、この村はかつての活気を取り戻している。

以前よりも人が増えたくらいだ。




しかし――――




「そこだっ!!」


”ズバッ”


「ギャアオォーーーーー!!!」



俺達村人の最大の悩み。それが、この森に出没する凶暴化した魔物達。

前から魔物というものはいたのだが、最近になって急に人や他の動物を襲うようになったのだ。

そのせいで、俺達狩人の仕事は減った。しかも、皆が怖がってこの森にさえ近づかなくなった。



何が起こっているというのだろう?



その理由は分からないが、とりあえず俺達狩人は、魔物退治を続けている。

自分達と、村のために。



「しかし、これじゃあキリがないな・・・。ん?誰だ?」


本日これで20匹目の魔物を倒し終わり、周りを見回したときだった。

それは2人組の旅人で、年の頃はあまり変わらないだろう金髪の青年と、黒髪の少女だった。




「ねえねえ、この森の先にはなにがあんの?」

少女がきく。

「村にきまってんだろ」

青年がさらっと答える。

「もーちょっと、おもしろみってもんを持とうよー」

「そんなもんいらねえだろ!」



どうやら、俺には気づいていないみたいだ。それにしても、旅人なんて何年ぶりだろう。

そう思って眺めていた。だが、



「・・・リラン、誰か居るよ」

「は?どこに?誰もいねえぞ?」

「気配はないんだろうけど、あたしには分かるの」



この距離から、俺がいる事が分かるとは、只者じゃない。なんとなく悪寒を感じ、草陰に隠れた。

少女はどんどん近づいてくる。


「『心の声』っていうのは消せないの。どんな人でもね。っていうか、なんか血の臭いが気持ち悪いわ」

「・・・・・・お前、なんかキャラ違うぞ?」



身体が動かない。そう感じた。しかし、







「はい、みっけ!もうびびんなくてもいいよ〜お兄さん」

「・・・は?」




俺の顔を覗き込みながら笑う少女は、さっきまでの言葉を発していた少女とは思えなかった。

「ごめんね、お兄さん。お兄さんが悪い人かいい人か見極めるのに時間がほしかったからさ。

 ちょっとだけ威嚇してみたの」


「はあ・・・」

そうとしか答えられなかった。

「いや、つーかさ、心の声ってなんだよ、お前」

少女の隣では、青年がまだ少しこわばった顔のまま聞いている。

「ああ、それはあたしにしか分からないモンだから。」


あっけらかんと答える少女。なんだか、よく分からなくなってきた。とりあえず、名前は尋ねよう。

「俺は、シルフ=ネープル。この森を抜けた所にある村レベストで狩人をしているんだ。

 君達は旅人だろう?」


「あ、そうだよ!あたしは石月ラナ」

「オレはリラン=インペクスト」

「イシヅキ?もしかして君はレイルなのか?」

黒髪という時点でうすうす感じたが、やはりそうなのだろう。レイルと聞いただけでムッとした顔になったからだ。

「だから?あなたもアイルの人と同じなの?」

アイル王国でよほどのことがあったのだろう。これ以上その事に触れるのはやめておこう。

「いや、ただ聞いただけだ」

「ならいいんだけど」


「えーと、シルフ、だっけ?わりぃんだけど村まで連れてってくれないか?」

一通り話しがついたと見たリランが、そういった。

「ああ、別にかまわないよ。でも、あいにく宿屋はないんだ」

それをきいて顔を見合す2人。

「俺の家に泊まるか?」

仕方がないのでそういうと、ありがとうとラナがいった。









「わあ〜!ゲームで出てくる村みたーい!」

1人はしゃぐラナ。げーむって一体なんだろう、と思ったが聞かないでおいた。


「にしても、この村の奴等は変だな。俺たちのことを幽霊でも見るような目で見やがる」

「・・・・森に魔物が出るからだよ。皆怯えているんだ。俺の家はこっちだよ」


俺の話に興味をもったらしい2人は、家についてからも、その事を聞いてきた。




「で、その魔物がでてきたのはいつからなの?」

最初に切り出したのはラナだった。

「2週間ほど前だね。他の所のここみたいに魔物がでているのかい?」

「ああ。オレの知ってるかぎりはな」

それに答えたのはリラン。それにラナが続いて言う。

「やっぱり冥王のせいよね。魔物って」

「冥王?それがそもそもの原因なのか?」

冥王とはいったいなんなんだろう。魔王の再来とでもいうのだろうか?


「え〜っと、うん。そいつがこの世界の四大元素精霊の力を手に入れようとしてんの」

「じゃあ、急に魔物が凶暴化したのは、そいつの影響なのか。

 それにしても、この世界を構成する四大精霊を手に入れる?一体何故?」


ことが次第に大きくなっていくなか、俺の問いにリランが答える。


「簡単にいうと、世界をどーにかする気だろーな。滅ぼすか乗っ取るとか」


そんなことになってしまったら、どうすればいいのだろうか。

そもそも彼らは、その冥王をどうするのだろうか。


「で、あたし達はそれを止めるの。この世界を守るために」


そう考えていると、ラナがそう言った。

正直、すごいとしか言えない。


「・・・ここから北に行くとエックスプレートという山がある。その頂上の洞窟の中に

 地の精霊ノーム様が祭られているグラド祭壇がある。
 
 冥王が四大精霊の力を手に入れようとするのを阻止するんだろう?

 そこが、ここから一番近いんだ」


それを聞いた2人は一瞬ポカンとしていたが、すぐに喋り始めた。


「エックスプレートのグラド祭壇・・・。じゃあ、まずはそこに行こう!

 ラミアさんの言ってた『声』を聞いた人もそこにいるかも!」

「サンキュー、シルフ。実は精霊達の居場所が良く分からなかったんだ」



・・・・・・大丈夫なんだろうか?



「ああ、だけど、エックスプレートまでは遠いんだ。少し遠回りになるけど、

 ここら辺で一番大きい町、ランバルド教会がシンボルのテヌート経由で

 行くほうがいい。大体8日くらいかかるけどね」

「ふんふん。なるほどー」

俺の説明を頷きながら聞くラナとリラン。先ほどの不安が募るような気がした。



















あらかた話がついた、そんな時だった。

大きな叫び声が響いたのは。

森から火の手があがったのは。





「 ギャオオオォォーーーーーーーーーー!!!!」





「な、何よ!?今の叫び声!!」

「森のほうだ!燃えてんぞ!?」


またか。しかも、アイツだ。

「ちぃっ!」

「あっ待ってよ、シルフさん!!」


弓をつかんむと、森へ向かって駆け出していた。

どうやら、条件反射になっているらしい。

魔物の声がすれば、弓をもって森へ向かう。それが当たり前にさえなっていた。





他の狩人達は、もう既にほかの魔物と戦っていた。

だが、まだアイツがいる。




「見つけた」

「ギャオオオォウゥ・・・!!!グワァオゥ!!!」

アイツを。見つけた。



「うっへー。まだ唸ってんじゃん」

「しっつこいのねー」

「リラン!?ラナ!?なぜここに!?」


どうやら、2人が着いてきたことに気づかなかったらしい。

「危ないから戻るんだ!」

「イヤにきまってんでしょ!魔物も倒せなかったら冥王なんて倒せないもの!

 (それにモンスターとの戦闘なんてワクワクするしね〜♪)」

「心配すんな。足は引っ張んねえよ」


すっかり戦闘態勢に入っている2人に、何を言っても駄目なようだ。

「はぁ・・・もう勝手にしてくれ」

「もちろんそのつもりよ!!」



戦闘開始といわんばかりに、ラナは突っ込んでいった。


「無闇に突っ込むんじゃない!!そいつはここら辺一体を仕切るボス、

 ヘビーグロップなんだ!!」

「そんなん知ったこっちゃないわ!」


”ズビャッ”


ナイフ独特の音がした。左目を切ったらしい。

「グギャアアア!!!!!」

ヘビーグロップは、鰐の様な顔と尾を同時に反らせ、ライオンの様な四肢をばたつかせ、

もんどりうって倒れた。しかし、すぐに起き上がった。


「あれー?手ごたえあったのに」

「イマイチだなぁ・・・・・・ってぇ!?」

「ラナ、リラン、伏せるんだ!」

「うわああっ!!」


ヘビーグロップが炎を吹いた。皆一斉に伏せたので、なんとか無事だった。


「流牙蓮!!(りゅうがれん)」

地を伝い、流れる水のように、連続して矢を放ち、空へと突き上げるこの技は、

子供の時から使っている。コイツに効くかどうかは分からないが。


”ドドドドドッ”


「グゲェッ・・・・・・!」

苦しそうに空へと突き上げられた様子から見ると、わずかだが、効いている。

そこへ走り飛んできたリランが止めを刺す。

「くらえっ!!紅蓮剣!!(ぐれんけん)」

火の玉を繰り出す炎の剣で、下へと叩き落した。


「グガァギャオオォ・・・・・・!!!!」


変なうめき声とともに、ヘビーグロップは、燃え尽きた。





「ありがとう。コイツが消えれば、もう大丈夫だ」

「えへへ。おもしろかった!」

「おもしろがんなよ!!」



2人と俺は、村中から感謝された。

ちなみに、他の狩人達も、皆怪我もなく無事だった。

彼らもまた、大いに感謝された。













そして、次の日の朝。2人はテヌートへ向けて出発しようとしていた。

そして、俺はある事を決めていた。



「じゃあね、シルフさん。泊めてくれてありがとう」

「何を言ってるんだ。俺も一緒に行くよ」

「へ!?」

ラナが素っ頓狂な声をあげた。

「いいのか?シルフ。この村の方は」

リランがそう聞く。

「ああ。むしろ、村中から行って来いといわれたくらいだよ。

 このまま魔物の襲撃から身を守るだけじゃあ、何の解決のもならない。

 だったら、元から断ち切ってしまう方が早いだろう?」

「ま、そりゃそーだな」

リランは納得したようだが、ラナが続けて問う

「でも、村の人たちがあぶなくなるんじゃ?」

「今回の事で、皆もう魔物に怯えてばかりいちゃ駄目だって分かったんだ。

 それに、ここには他にも狩人達はいるからね。

 だから、大丈夫さ」


それを聞いて、ラナも納得した様子で笑った。


「そっか。うん!じゃあ、行こう!!」






・・・・・・それに、君達2人だけの方が、不安だからね。

この事は、俺の心の中だけにしまっておこう。

ラナにはすぐに分かってしまうかもしれないけどね。






**あとがき**

りこ:はーい!!第3話こうしーん!!これからもっとハイスピードで頑張るにょ!

   つーか、この原作しってる約2名様には分かるでしょうが、かなり内容変えてますにょ!

   きにしないでにょ!元が駄文過ぎたんだにょ!

   というわけで、これからさらに人増えてくにょ♪楽しみにしててにょ♪

   これからもネオ・リンガロよろぴくにょ!!

斎:りこめっちゃしゃべるねえ・・・

ゆん:いつも通り、誤字、脱字があったらBBSなりメールなりで教えてください。

   意見、感想もお待ちしております。

斎:強制終了はなしだぞ、りこ

りこ:ぎくっ!?(する気マンマンだった)



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